ステージⅣだよ 全員集合!

50代。乳がんステージⅣで知ったこと&考えたこと

脱毛② 髪を切る

さて、乳がんでよく使われる

タキサン系(タキソテール、タキソールなど)、

アンスラサイクリン系(アドリアシンなど)の抗がん剤

かなりの高確率で脱毛を引き起こします。

 

最初の投与から3週間後くらいにそれは始まります。

私の場合はシャンプー中、手のひらにびっしりと髪が……

分かっていても衝撃を受けますね。

どうせならシャンプーで抜け毛をすべて除こうとしても、

毛母細胞は弱い順にじわーっと髪を手放していきますから、

朝、目を覚ますと枕カバーにまた「美容院の床かよ!」と

突っ込みたくなるくらいの髪が。

 

最初の頃は悲しみしかありませんが、

これが数日も続いてくると物理的に面倒くさくなる。

風呂や洗面所の排水溝にシートなどを敷いて

髪が下水管を詰まらせないようにする とか

毎朝、枕カバーにコロコロをかける とか

ハラハラと髪を舞わせて周囲をギョッとさせぬよう、キャップをかぶる とか……。

この段階で「髪を短くしよう!」と決意する女性は多いと思います。

私も1回目はそうでした。

 

先日、たまたま読んだ

ステージⅣの乳がんを克服した(!)方のコミックエッセイ

 

https://www.amazon.co.jp/%E4%B9%B3%E3%81%8C%E3%82%93%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%BC%E3%82%B84%E3%81%A0%E3%81%A3%E3%81%9F%E7%A7%81%E3%81%8C%E3%80%81%E3%81%9D%E3%82%8C%E3%81%A7%E3%82%82%E5%90%88%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%81%AB%E8%A1%8C%E3%81%8D%E3%81%BE%E3%81%8F%E3%81%A3%E3%81%A6%E6%95%91%E3%82%8F%E3%82%8C%E3%81%9F%E8%A9%B1-%E7%99%BD%E6%88%B8%E3%83%9F%E3%83%95%E3%83%AB/dp/4909689028/ref=sr_1_fkmr0_1?s=books&ie=UTF8&qid=1543567361&sr=1-1-fkmr0&keywords=%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%A8%E3%83%83%E3%82%BB%E3%82%A4%E3%80%80%E3%81%8C%E3%82%93%E3%80%80%E5%90%88%E3%82%B3%E3%83%B3

 

でも同じことが書いてありました。

この方の場合はなじみの美容師さんに

ベリーショートにしてもらい、思わず泣いてしまったとありました。

 

私? 私は気持ちが「おっさん」ですから。

周囲に知られたくないという思いから、

仕事の合間、行きずりの街で15分カットの店を選んで入りました。

サラリーマン御用達の。今まで入ったことがないような。

ウイークデイの昼下がり、店は空いていて、

60歳近いような女性が私を担当してくれました。

どうします?と問われて、用意していた言葉、

「うんと短くしてください。どうせ抜けるんで」を

ぶっきらぼうに告げ、目を伏せて作業終了を待つ。

 

「……だから、……よ」

私の髪を切りながら、女性が何か言っています。

え?と頭を上げると、鏡の中で小さくほほえむ彼女と目が合いました。

「私も5年前に乳がんで全摘したの。

ぜんぶ抜けてしまったけど、大丈夫。

治るし、髪も戻るわよ」

涙って、噴き出すことがあるんですね。初めて知りました。

 

そのときはベリーショートにしてもらって、

会社ではウィッグ、日常では抜け具合を見ながら地毛で

生活していました(前回も書いたとおり、

ウィッグはまったく周囲にバレませんでした)。

が、脱毛体験も2回目、3回目になると、

「ベリーショートなんて面倒!」と私は思うようになります。

短くても、枕やキャップに付着しますからね。

 

あのときの女性理容師に感謝しつつ、

2回目からは近所の割安カット(1500円とか)に行って

「治療の都合で髪が抜けるので、スキンヘッドにしてください」と

お願いするようになりました。堂々としたもんです。

だって治療なんだもん。しょうがないんだもん。

 

美容師は法律上「剃る」のはNGなので、

実際は「1厘(0.8㎜)」でオーダーするんですが。

「……へー、毛が抜ける治療なんてあるんすか」と

若い男性美容師に聞かれ

「そうなのよー。薬を終えてしばらくすると、

また生えるんだけどねー」

シレっと答える私。

そうやって世間の理解が深まるといいなあ(笑)。